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新世代のアイデア豊富、漁業の革命”エシカルシーフードチャレンジ”とは

この話題に関わるSDGsの目標

日本の漁業の未来や、「食」に関する様々な課題を解決するためにスタートした「エシカルシーフードチャレンジ」。

規格外だからと廃棄されてしまっている海産物などを利用して、新しい商品を開発しようとする漁師たちの努力の形であり、そのような海産物がなかなか消費者にまで伝わっていないという現実を解決しようという取り組みでもあります。

今回は、若い世代の人たちが中心となって「食」の課題と未来に向き合う「エシカルシーフードチャレンジ」についてご紹介します。

■若い世代の新アイデア!様々な立場の人々が協力し合う取り組み「エシカルシーフードチャレンジ」

・食の生産現場の課題解決に積極的に取り組む「dot science株式会社」

 

「たべる」ことで、「海」の課題解決に繋げようというプロジェクト「ETHICAL SEAFOOD CHALLENGE(エシカルシーフードチャレンジ)」に取り組む「dot science株式会社」は、高付加価値食品のプロデュースや、レシピ開発コンサルティングといった事業を手掛けています。

香りを食べるバラのアイスクリーム「FRAGLACE」や、100%農薬不使用栽培のエディブルフラワー、日本の伝統食である干物をフレンチの技法でアレンジした「アタラシイヒモノ」など、健康や環境、フードロス削減などと向き合いながら、様々な商品を開発しています。

・「エシカルシーフードチャレンジ」の第一弾となった「シーフードフランク」とは

 

「エシカルシーフードチャレンジ」は漁師、メーカー、ベンダー、シェフ、食べ手など様々な立場の人を巻き込みながら、連続的な開発・販売を目標としています。

その第一弾として開発されたのが、2018年3月に三越伊勢丹新宿店にて期間限定で販売された本格フィッシュソーセージ「シーフードフランク」です。

味は牡蠣とホタテの2種類と人気のラインナップで、それぞれ「フィッシャーマンジャパン」の漁師が収穫した魚介類の中で、不揃いや規格外のものを原材料にし、それを利用してフレンチレストラン「TIRPSE」のシェフ田村浩二氏がレシピを監修しました。

 

ソーセージの肉には「阿部勝太のホタテ」を贅沢に使用し、つなぎの脂には旨味の詰まった「鈴木真悟の銀鮭ハラス」、そして食感を良くするために「阿部勝太のこんぶ」の未利用部分を刻んだものが入っているという豪華なもの。

実現は困難かも知れないと思われたプロジェクトでしたが、「鈴廣かまぼこ」の高度な魚肉加工技術により商品が完成しました。

試行錯誤を重ねながらも、「シーフードフランク」は三越伊勢丹新宿店の店頭に並ぶことに成功しました。

まさに漁師・つくり手・売り手が三位一体となったエシカルシーフードチャレンジです。

魚介類のフードロス削減を目的に、技術と努力そしてアイデアが融合して完成した、「もったいない」を「美味しい」に変える取り組みです。

 



「阿部勝太のホタテ」:予約が取れない人気鮨店にも採用されている甘みが特徴のホタテ。あまり市場に出ない小さな個体でもできる限り使用しています。

「鈴木真悟の銀鮭ハラス」:日本で初めて養殖技術を確立した国産サーモンのハラス。その脂をソーセージのつなぎに使用することでジューシーで重厚な風味となっています。

「阿部勝太のこんぶ」:ステーキのように肉厚で良質なこんぶ。良質だが色味が違うことで市場に出ない未利用部位を使用しています

 

・エシカルシーフードチャレンジの目的・コンセプトとは?

 

エシカルシーフードチャレンジは、私たち消費者にとっても目的やコンセプトが分かりやすい内容となっています。

 

【フードロスの削減】

廃棄される予定の食材にも価値を見出して積極活用し、不当な値引きは行わず、漁師が決めた持続可能な価格で仕入れること。

【高付加価値漁業の発信・採用】

品質向上や環境への配慮など、漁師の創意工夫を評価し、その価値を情報発信し、レシピにも積極的に活用すること。

【スペシャリテレシピの商品化】

現代の調理法と伝統的な製造技術を融合させた日本品質のスペシャリテをつくりつつ、メーカーの卓越した製造技術にも注目し、その技術に裏打ちされた商品の開発を目指すこと。

 

上記のように、漁師にも配慮しながらフードロスを目指し、また消費者に向けて受け入れやすいようにレシピを公開したりなど様々な取り組みが行われています。

■エシカルシーフードチャレンジに関わった生産者や企業をご紹介

・水産業の新しい形を目指す宮城の漁師・阿部勝太氏「フィッシャーマンジャパン」

 

味は美味しいのに、色や形が不揃いということだけで商流に乗らない食材があります。その食材たちに価値を付け、フードロス削減を目指す漁師発の取り組みをしようと、宮城県十三浜の若手漁師である阿部勝太氏は、こんぶの未利用の部位を使って佃煮を開発し、スーパーなどへ展開しています。

漁をすることだけにとらわれず、商品開発や営業なども積極的に手掛ける地域のリーダー的存在である阿部氏は「一般社団法人フィッシャーマンジャパン」の代表理事も務めており、三陸の若き漁師たちが地域や業種の枠を超えて東北から日本全土へ、そして世界に向け、未来の世代が憧れる水産業の形を目指す取り組みを行っています。

また、「生産者の思いをダイレクトに伝えるためのライブステージが欲しい」という漁師たち長年の夢を実現させるため、、東京・中野の漁師直営居酒屋「宮城漁師酒場 魚谷屋で、その時期の最高に自信を持っておすすめできる食材を提供しています。

 

このほかにも大学生向け水産業インターンの募集や、積極的なメディアへの発信など活発な活動を行っています。またオンラインショップでの海産物の販売、幅広い世代が使えるおしゃれなTシャツやシーパーカー、サコッシュやキーホルダーなどのオリジナルグッズも販売しています。

 

・小田原名物「鈴廣かまぼこ」海と大地を繋ぐ食の資源循環モデルを実現

 

創業150年という長い歴史を持つ神奈川県小田原市の老舗「鈴廣かまぼこ」の商品は、かまぼこだけでも200種類を超える品ぞろえがあり、旬の素材を練り込んだ月替わりの商品や、日本の四季の表情や節句の風物を題材にした細工かまぼこなども販売しています。

小田原の歴史と共に歩んできた「鈴廣かまぼこ」は、小田原ならではの「いのちの循環」をテーマにしたまちづくりを目指しています。

例えば、かまぼこを作る際に出る魚の皮や骨、内臓などと、箱根ビールの絞りかすを利用した良質な魚肥「うみからだいち」を開発したりなど、環境を重視した取り組みを行なっています。

魚肥は安心・安全な農作物を育てると同時に、土壌の活力を回復させる効果があると言われており、雨が降ることで土壌の養分は川へと流れ込み、再び海へ帰ってきます。このシステムを利用し、鈴廣は環境に対してやさしい対策を行なっています。

また、他にも森林保全活動や太陽光発電、地中熱換気システムの導入、EVステーションの設置など、環境に配慮した取り組みを積極的に行っています。

 

エシカルシーフードチャレンジの取り組みは、若い世代からの新しい考え方や、様々な立場の人からのアイデア、そしてそれらに共感して世の中に広げようとする人々の協力が成功のポイントとなりました。

こういった取り組みを継続させていくためには、私たち消費者が「食」について、もっと真剣に向き合うことが必要不可欠です。

これからは、地球環境のことも視野に入れ良いものを作ろうとする生産者を守り、エシカルでサスティナブルな「食の未来」に繋げていける社会にしていくことが大切といえます。

 

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